できている行動を見つけて、強化する

「ちゃんとできたとき」見逃していませんか?

宿題を終えた、約束を守った、コツコツ貯金を続けた…。
子どもができている行動は確かにあるのに、つい「まだここが足りない」と注意に目が行きがちです。でも、その一言のかけ方次第で、子どものやる気はぐっと変わります。

💡心理学の解説

子どもは「できていることを認められる」と、自分はできるんだという感覚(有能感)が育ちます[1]。
この有能感は、心理学でいう自己決定理論の中核です。自己決定理論とは、人がやる気を持続させるには「ごほうび」や「注意」だけでは足りず、
  • 自分で選んでいる感覚(自律性)
  • できているという実感(有能感)
  • 誰かに受け入れられている安心感(関係性)
の3つが満たされることが大切だ、とする考え方です[1]。つまり、注意や指示を減らすだけでなく、「できたね」と認めてあげることは、子どもの学びや挑戦を続ける力につながるのです。
そこで意識したいのが、次のような行動を強化する声かけです。
  1. 行動を具体的に言い当てる
    1. 「宿題を終わらせたね」「今日は自分から片づけをしたね」と、成果を細かく言葉にする。
  1. 努力の過程を評価する
    1. 「毎日ちょっとずつ続けているのがいいね」と、結果ではなく取り組み方を認める。
  1. できた理由を一緒に考える
    1. 「なぜできたと思う?」と問いかけ、成功要因を自分の言葉で言語化させる[2]。
  1. 次の挑戦を本人に決めてもらう
    1. 「次はどんなふうにやってみる?」と問いかけ、自己効力感を積み重ねる[3]。
これらはすべて「自由を尊重しながら行動を支える」ための工夫です。
褒めるのは「おだてること」ではなく「できた事実を知らせること」。無理に全部探さなくても、ひとつでも気づいて伝えるだけで十分です。

 🏡 今日からできる3ステップ

  1. できたことを小さく言い当てる
    1. 例:「今日は忘れずにノートを持ってきたね」
  1. 努力の過程を認める
    1. 例:「昨日より早く終わらせようと工夫したんだね」
  1. 次の一歩を本人に聞く
    1. 例:「次はどんなやり方を試したい?」
言い換えのコツ:
NG 🙅:すごいね/よかったね/えらいね
OK 🙆:最後までできたね。次は違うのを試してみる?/時間を守れたね。何か工夫をしたの?

❓もし、効果がなかったら?

「褒めても反応が薄い」「その場限りで続かない」と感じることもあるかもしれません。
でも、子どもは認めてもらった経験を少しずつ蓄えて、後から自信に変えていきます。
まずは行動を小さく切り取って伝えることを続けてみてください。
うまくいかないときは、結果ではなく取り組み方や工夫に注目して声をかけ直すのが効果的です[2,3]。

参考文献

1]Ryan, R. M., Duineveld, J. J., Di Domenico, S. I., et al. (2023). Meta-analytic findings within Self-Determination Theory.
2]Vasquez, A. C., Patall, E. A., Fong, C. J., Corrigan, A. S., & Pine, L. (2016). Parent Autonomy Support, Academic Achievement, and Psychosocial Functioning: A Meta-analysis of Research. Educational Psychology Review.
3]Grolnick, W. S., Levitt, M. R., Caruso, A., & Lerner, R. (2021). Effectiveness of a Brief Preventive Parenting Intervention Based on Self-Determination Theory.