反発を避けて、対話を進める
「言っても聞かない…」その前に、話し方を変えてみませんか?
「ちゃんとやって」「ダメって言ったよね」と繰り返すほど、子どもは黙り込んだり、反発したり…。親としては見守りたいのに、つい“監督役”になってしまう。
どうすれば、子どもが自分から動けるような対話に切り替えられるのでしょうか?
💡心理学の解説
人は「自分の自由が脅かされた」と感じると言われたことと逆をしたくなります。これを心理学では「心理的リアクタンス」と言います[1]。
一方で、子どもの自律性を支える関わりは、理解と納得を高め、行動の持続につながります[2]。
“監督”から“見守り”に切り替えるポイントは、次のような小さな工夫です。
- 気持ちを言い当ててから話す(感情の承認)
「今は続きが気になるんだよね」など、まず気持ちに名前をつけて受け止めると、反発が和らぎます[2]。
- 事実と理由を共有し、合意ルールに落とす
「部屋の片づけ、全部は大変だから“今日は机まわり、明日は本棚”にしようか?」と、事実→理由→合意の順で話します[2]。
- 選択肢を渡して、本人に決めてもらう
「今やる/20分後にやる」「AとB、どっちから?」など、小さな選択でも“自分で決めた”感覚が生まれます[2]。
- 次の一歩を“本人の言葉”で計画する
「じゃあ、どう進める?」と尋ね、子どもが手順を口にするのを待ちます。本人主導の計画づくりは継続を助けます[3]。
これらは自由を尊重しながら促すための対話スキルです。強い指示は短期的に効いても、長期的には反発と後戻りを招きやすいことが知られています[1,2]。
すべてを一度にやらなくてOK。ひとつだけでも雰囲気は変わります。評価ではなく作戦として、言い方を少しずつ試してみましょう。
🏡 今日からできる4ステップ
- 気持ちと事実を並べる
例:「続きを見たいよね。いまは宿題の時間だね。」
- 合意ルールを一緒に決める
例:「あと20分で区切って、その後に動画に戻ろう。どう?」
- 迷ったら“次の計画”を具体化 例:「今日は算数を10分だけやって、明日は国語を1ページにしようか。」
言い換えのコツ:NG 🙅:ダメ/〜しなさい/なんで〜したの!OK 🙆:ルールを一緒に決めよう/どうするのがいいと思う?
❓もし、効果がなかったら?
「落ち着いて話したのに、やっぱり動いてくれない…」そんなとき、親としてはがっかりしたり、自分の言い方が悪かったのかと悩んでしまいますよね。
大切なのは、一度でうまくいかなくても普通のことだと受け止めることです[1]。
まずは「気持ちを受け止める→事実を伝える→合意をつくる」の順番を意識し続けてみてください。合意がうまくいかないときは、時間や回数など測れる基準に言い換えると伝わりやすくなります[2]。
それでも難しい日は、行動を小さく区切って「今日はここまでやってみよう」とハードルを下げる工夫が役立ちます(10分だけ、1ページだけ)[2,3]。
参考文献
[1] Steindl, C., Jonas, E., Sittenthaler, S., Traut-Mattausch, E., & Greenberg, J. (2015).
Understanding Psychological Reactance: New Developments and Findings.
Zeitschrift für Psychologie, 223
(4), 205–214.
[2] Vasquez, A. C., Patall, E. A., Fong, C. J., Corrigan, A. S., & Pine, L. (2016).
Parent Autonomy Support, Academic Achievement, and Psychosocial Functioning: A Meta-analysis of Research.
Educational Psychology Review.
[3] Grolnick, W. S., Levitt, M. R., Caruso, A., & Lerner, R. (2021).
Effectiveness of a Brief Preventive Parenting Intervention Based on Self-Determination Theory.